UR都市機構 Open Smart URのコンセプトブック「UR 2030」*1では、「プログラミングできるのが普通の若者たち」という2030年の若者像を示しています。
では、この「若者たち」とは、具体的にどういう人たちから構成されるのでしょうか? SSP*22030(階層と社会意識全国調査)とSSM*32030(社会階層と社会移動全国調査)が行われたとして、「日常的にプログラミングを行う」と答える層はどの程度の割合で、またそのプログラミングの程度はどういったものなのでしょうか?
そう考えると、きっと「プログラミングできるのが普通の若者たち」イコール「Googlerみたいな人たちが若者人口の大半を占める」ではないだろうなぁと思うわけです。
これまでは、プログラミングを習ったことのない人が大半なので、プログラマのレベルとその人数分布は以下のようになっていると思われます。
一方、みんながプログラミングを習い出した後は、「人間の能力はおおよそベル型カーブに沿う」という前提に従うとすると、おそらく以下のような分布になると思われます。
この推測通りになれば、「プログラミングできるのが普通」になる前と後とでいちばん増えるのは、グラフの右端にいるようなコードをバリバリ書ける人ではなくて、グラフの真ん中くらいの人になるわけですね。
ここで「このグラフの真ん中くらいの人って、具体的にはいったいどのくらいのレベルなんだろう?」とと考えると、きっとこのレベル分けでレベル10くらいに位置するんじゃないかと思うんですよ。 satob.hatenablog.com
他の指標で言うなら、AtCoderで言うと灰色と茶色のちょうど中間くらいの人が増えるわけですね(茶色が上位50%なので)。そう考えると、やはりあまりレベルが高いとは言えません。 chokudai.hatenablog.com
AtCoder緑色や水色の人がモリモリ増えたらそりゃ嬉しいですけど、学校の他の授業と同じ話で、みんながみんなバリバリできるようには、きっとならないですよね。
「プログラミングできるのが普通の若者たち」が増えるということは、一般的な(プログラミングを生業としない)職業に就くのはこういった「平均的」なレベルの人が大半になる、というわけです。また、今後はあらゆる業種で、自前でプログラムを書くことが増えていくのではないかと思われます。そう考えると、
- 平均的なレベルの人に、どうプログラミングを教育していくか?
- 平均的なレベルの人が書いたコードをいかにメンテナンスしていくか?
といった点が、プログラミングを生業としない企業での課題になっていくのではないか(また教育に関する研究の大きなテーマになっていくのではないか)、と考えるわけです。